結論から先に言っておくと、まだ完全な算出には至ってません。近似的な所まで。(190402追記:月末の指数基礎情報を用いることでその時点における東証マザーズ指数を計算することが可能。ただし、徐々にずれる。)

前々からマザーズの速算シート(Excelでリアルタイムの株価・気配に合わせて指数を計算)を作りたくて半年以上が過ぎてしまいました。
寄り前の現物気配を計算させたり、引けてから出る個別銘柄の決算の指数へのインパクトを計算したりしたいなと。この前のサンバイオのように指数寄与の大きい銘柄が連続ストップ安している時の、「真の」指数を手軽に計算するのにも使えたりします。それを見ながら、先物が現物に比べて異常に割高・割安になってないかをチェックしたり。

日経平均の速算シートは作っているので、それの応用ですぐ作れそうなものですが、そういう訳にもいかず。なぜなら算出に必要な情報が足りない。

どういう事かを説明するために、指数の算出式から見ていきましょう。

JPXのサイト、株価指数ラインナップから東証マザーズ指数の算出要領のPDFアイコンをクリック。
東証指数算出要領(東証マザーズだけでなくTOPIXに代表される時価総額加重平均型指数全般まとめて。)より

キャプチャ
この2つの式から、指数を計算するために「各銘柄の指数用株式数」「各銘柄の採用価格」「基準時価総額」「基準値」が必要だとわかります。(Σとかにビビらないでくださいねw)
「各銘柄の採用価格」は株価だと思っておけばいいとして、「各銘柄の指数用株式数」とは何ぞやと思った人のために続いて説明が。

キャプチャ2

指数用上場株式数というのは発行済み株式数だと読み替えれば大体OK。(株式分割等実施時に一時的に一致しなかったりするよ、NTT、JT、JPについては未上場の政府保有株式があるから一致しないよと説明されてます。)

よって、指数を計算するために必要な項目を更新すると、「各銘柄の発行済み株式数」「各銘柄の浮動株比率」「各銘柄の株価」「基準時価総額」「基準値」となります。

ここまで来て思います。
「各銘柄の発行済み株式数」は、まあどこかから調達できそう。大変かもしれないけど、たぶん簡単に拾ってくる方法がありそう。
「各銘柄の株価」は、楽天RSSなどで更新していく部分。
「各銘柄の浮動株比率」「基準時価総額」「基準値」

「基準値」については同じ資料のp.4に値が掲載されています。東証マザーズ指数の基準値は1000pt。
資料にきちんとした定義が見当たりませんが、これは何かとざっくり言うと、指数算出開始時の指数値、つまりマザーズは1000ptからスタートしたという事。あれ、いまいくらだっけ・・・。ちなみにTOPIXの基準値は100pt。

「基準時価総額」についても明示的に定義されてませんが、p.6からその修正方法は掲載されています。
基準時価総額とは超簡単に説明しちゃうと、指数の連続性を維持するために適宜修正されるもの。
例えば、新規上場があり新たに指数に採用される銘柄が増えたとします。上の方の指数算出式を見てもらうと、その銘柄分の時価総額分だけ分子が増加することになります。これだけだと銘柄を組み入れた事により、(各銘柄の株価が動いていないにもかかわらず)指数が不連続に上昇してしまい、連続性が失われてしまいます。なので、分母の方(基準時価総額)も新規上場の影響を考慮して弄る必要があるわけです。弄り方(修正方法)の詳細がp.6以下に書かれています。

そして、「各銘柄の浮動株比率」。資料のどこにも説明がなされてないような。あっ、あった。
浮動株比率については、別紙に定める。
Oh...。
別紙ってどれ。先のサイトの下の方、関連情報にある浮動株比率の算出要領、たぶんこれの事でしょうか。資料の明示しといてくださいね。
浮動株比率(FFW=Free Float Weight)は「浮動株(市場で流通する可能性の高い株式)の分布状況に応じた比率」で、東証が銘柄別に算定し、指数の算出に使用するものである。
浮動株比率の算定は、「①有価証券報告書等の公表資料から固定株(固定的所有と見られる株式)を推定、②固定株比率(=固定株数÷指数用上場株式数)を算定、③「1-固定株比率」の数値から浮動株比率を求める」の手順で行われる。
なるほど。市場で頻繁に売買されてるだろう分だけを、指数の計算に用いましょうって事。

ちょっと横道に逸れますが、ブログを書きながら浮動株比率の意味付けについてググっていたら、現在もTV等でご活躍のニッセイ基礎研究所の井出さんのレポートがヒットしました。なんと2001年物!(笑)
実はTOPIXも元々は浮動株の影響を考慮せず、単純に発行済株式数(そして単純な時価総額)を用いて計算されていました。それを浮動株を考慮するように変更し、その移行を2005年10月末より段階的に行い、2006年6月30日に実施された3回目の反映を以て完了しました、ってWikipediaが言ってます。(ちなみに私は証券会社に2006年入社です。)
井出さんのレポートは2001年の物なのでその手前段階で出されたわけですね。導入後のレポートとして、同じくニッセイ基礎研究所からこんなレポート(「浮動株化後のインデックス運用」)が。こっちは井出さんじゃないです。


指数算出に必要な情報の話に戻しましょう。
「各銘柄の発行済み株式数」「各銘柄の浮動株比率」「各銘柄の株価」「基準時価総額」「基準値」のうち、「各銘柄の発行済み株式数」「各銘柄の株価」「基準値」はどうにかこうにか入手出来そうです。
しかし、「各銘柄の浮動株比率」「基準時価総額」をどこから入手すべきかが問題になってきます。
「浮動株比率」って客観的に求められるんじゃないのって思う人もいるでしょうが、先ほどの「浮動株比率の算出要領」をよく読んでもらえれば分かると思いますが、ある程度の基準が示されているものの、最後の所では東証の主観が入ってきます。「有価証券報告書等」「固定的所有とみられる株式」「推定」ってワードがありますね。
ちなみに四季報にも浮動株の割合が掲載されています。その定義はというと、
1単元以上50単元未満の株主が所有している株式数の合計が、発行済株式総数に占める比率
こっちの方が客観的です。それが妥当な線引きかどうかは別として。

「基準時価総額」も修正方法は分かっているので、ある時点での基準時価総額が分かっているなら、銘柄の異動を追っていけば、あるいは算出し続ける事が出来るのかもしれません。しかし、それは・・・。

さて、どうしましょうか、と頭で考えて憂鬱になってなかなか作業に移れなかったわけです。言い訳です。実は連立方程式を使って未知の値を求めれるかなという一応の解決策が頭にあったのですが、なんか面倒だなって。
公開してくれてる所ないのかなって、たまにググってみる日々を無駄に送ってました。つづく。

※思っていた以上に長くなってしまったので、一旦切って基礎編にしました。次回は作業編で。