※9日にほぼほぼ書き終えて10日の場中にアップする予定でしたが、ゲームやら飲み会やらで忙しくて、季節外れの記事になってしまいましたが、データ見てて面白かったのと備忘録も兼ねてアップしました。
近年、騒がれるようになってきたETFの分配金捻出売り。
普段読ませてもらってる九条さんの2017年の該当記事(分配原資捻出のため3,000億円売却?|九条清隆 相場観と金融工学)を覗いてみると、追記部分に
配当権利発生
配当未収金計上
未収金分を先物ヘッジ
配当金受領未収金回収+先物ヘッジハズし
分配金支払い
この引用の上3つの行動が特に3末、9末に騒がれる「配当の再投資」ってやつです。現物が配当金分見かけの資産が減るので、指数との連動性を保つために先物を運用資産に組み入れるやつ。
で、下2つが「分配金の捻出売り」の行動。ただ九条さんはETFの商品性を誤解しているため、先物のヘッジ外しのみで現物は売られないと(少なくともこの時点では)思っているようです。そう思ってた時代が私にもありました。しかし実際にデータを見ると現物もしっかり売られてました。それについては後述します。
とりあえず、先物の組み入れ具合がポイントポイントでどうなってるかを見てみましょう。日興アセットマネジメントはETFの詳細な日次データを公開してくれていて例えば、1330 - 上場インデックスファンド225 (愛称:上場225)の日次データ(そんな愛称あったのか)が取得できます。このデータを用いて2018年の先物組入率の推移をグラフ化してみました。1330は先物と現物株の組み入れのみなので株式組入率はこの反対の動きをします。
2018年だけ特別な動きをされていると困るので、2017年の推移も見てみましたが概ね同様の動きでした。
3末(3月28日)、9末(9月26日)に急上昇してます。これがいわゆる配当の再投資って言われるやつです。
で、7月頭(7月6日)の急落。これが分配金の捻出売り(実際には不要になった先物ポジションを外してる。)
その他、6月27日、8月29日、12月26日にも軽い上昇が見られます。これも配当再投資と見ていいでしょうか。逆に2月にそれが見られないのはなぜでしょうか。10月30日もちょっと上げてますがこれも???
5月末、11月末からの下げは各企業から配当金を受け取り、それを再投資(現物買い先物売り)している影響ですかね?12月の下げ方はまあまあえぐいですね。分配が近い6月と違って、12月は配当金に応じて先物売りの現物買いをするからでしょうか?とりあえず、先物でずっと代替し続けるわけじゃなく、配当が入ってきた分を現物に投資している時期があるようです。この再投資した分を、分配金出す時には売らないといけなくなるって事でしょうか。
2018年だけ特別な動きをされていると困るので、2017年の推移も見てみましたが概ね同様の動きでした。
またTOPIX型である1308も見てみましたが概ね同じ。
そんな感じでオペレーションしているみたいですが、今年もBloombergでETF分配金のための換金売りの記事
で、実際7月8日はどんな感じだったかというと、
アダム・スミス2世@AdamSmith2sei7月8日のETF分配金支払いに伴う先物売り
2019/07/09 09:29:40
東証PCFより
野村 1321 日経平均ラージ先物 5250枚
日興 1308 TOPIXラージ先物 967枚
日興 1330 日経平均ラージ先物 511枚
終値で換算すると3本合計の… https://t.co/EFGzqboRYW
PCFの情報というのはJPXのサイトから取得できます。
インディカティブNAV・PCF情報 → http://tse.factsetdigitalsolutions.com/iopv/table?language=jp の「ALL PCFs」ボタンからダウンロード。
存在は知ってましたけど、マジマジと見たのは今回が初めてです。
1308、1321、1330のETFについて7月5日と7月8日のPCF(日付を7/9に合わせて「ALL PCFs」を押すと7月8日引け時点でのPCFがダウンロードされるので注意。)を比較するとそのETFのアセットである先物と現物株の保有状況の変化がわかります。
※アップが遅れたために、その日のPCFはもう入手不可ですかね...。
アダム・スミス2世さんのデータに現物(8日の終値換算)も付け加えておきましょう。
- 1321 0億円
- 1308 460億円
- 1330 440億円(75バスケット分)
この先物と現物の金額を足し合わせるとほぼ各ETF分配金の金額と一致しました。ありがとうございました。すっきり。例えば1330の詳細データを見てみると、
1口当り分配金:414円、口数:132689732口、分配金総額:549億円
先物売り110億円、現物売り440億円=550億円
(終値換算なので多少の誤差は許してね。)
記事のアップが遅れたので10日分も見てみましょう。
アダム・スミス2世@AdamSmith2sei7月10日のETF分配金支払いに伴う先物売り
2019/07/11 09:20:38
東証PCFより
野村 1306 TOPIXラージ先物 9504枚
大和 1305 TOPIXラージ先物 3838枚
大和 1320 日経平均ラージ先物 1220枚
終値で換算すると3本… https://t.co/FXbPKeBdfH
現物分(10日終値換算)は
- 1306 415億円
- 1305 319億円
- 1320 258億円
余談ですが、1306の方は9日時点でADワークスの新株予約権がアセットに組み入れられてます。1305の方は10日時点で初めて計上してます。(計算結果がおかしくて気づいた。)会社によって違ってくるもんなんですかねー。
上位3つで概算結果から、断トツトップである野村さんが先物を多めに売ったので、Bloombergの予想記事よりは先物が多く売られた感じになったでしょうか。